転:絡まる恋(続き3)

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 「まだ泣いてるー、萌優ったらー」  グラスをテーブルに置いて私の傍に来た真子。  そう言いながら、ワシャワシャと私の頭を撫でる。  二人の手の重さを感じる頭に私はまた一筋涙が零れたけど、心の中はほわんと温かい。  「大好き二人とも!」  アイマスクを取ると、こらえきれずに笑顔で二人に抱き着いた。  一頻り泣いたら今度こそ本当にすっきりしたみたいだ。  そうしたら、二人が居てくれるのに泣いてなんていられないと思った。  二人が持ってきてくれたお酒の缶を勝手に漁って取り出すと、一番にプルタブを引いて缶を開けた。  「乾杯!!」  ニコリと笑うと、ぬけがけ禁止! って二人に怒られて、笑いながら女子3人の宴会が始まった。  「そう言えば、トキ兄は体調はどうなの?」  ――そうだ。そう言えば補佐って『体調悪くて倒れた』ことにしたんだっけ。  尋ねられて思い出したことにハッとして顔を上げた。  すっかり忘れきっていた昨日の出来事が、随分昔の過去のことのように思える。  けれど考えてみれば、まだあれから24時間も経っていないんだ。  「大丈夫ですよ。朝もしっかり卵粥食べてましたから」  「へぇ……おかゆ、ねぇ?」  ニヤニヤ笑いながら相槌を打つ先輩。  その含みある感じが恥ずかしくて私は手にした缶の中身を、ぐいっと口にした。  「病人なんで、ちょっと作っただけですよっ」  他人から指摘されると、どうにも恥ずかしくて私は頬が赤くなったけれど、それは多分お酒のせいだと自分に言い訳して、また一口ぐびりと飲んだ。  「そっか。まぁいいけどさ……で、何があったかは聞いていいの?」  無言のままの真子と。  探るような瞳でそう尋ねる八重子先輩。  その二人の瞳に狼狽える私は――言いたい、何もかもと思ってしまう反面。  絶対に言えない補佐の……トキ兄の過去に葛藤する。
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