転:絡まる恋(続き3)

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 もう勘弁してほしい。  このまま話が続けば、確実に彼女が好きだと言う言葉を聞かされて、また振られるんだと思ったら怖かった。  出来れば隣に居たかった。  でも叶わないなら。  せめて想うだけでもいいんだ。  だけど、このままじゃ想うことすら叶わなくなってしまう。  そう思ったら怖くて、そんな言葉が口をついて出てしまった。  だけど補佐は私を逃してはくれないらしい。  「悪いな江藤。でも聞いてくれないか?」  寂しそうにそう漏らす補佐の声が震えていて、私は泣きたい気持ちを必死で我慢した。  どうして……どうして私はこんなにもこの人が好きになっていたんだろう。  自分でも酷いことをされているという自覚があるのに、それでも補佐の申し出を断れなくて涙を呑んで頷いた。  「――分かり、ました」  補佐の体重で少しだけ補佐の方に沈み込む体を立て直したくて、私はさらに距離をとって浅く腰を掛け直す。  これ以上、近づくのが、辛い――  だから身体的距離だけでも置きたかった。  そんな私を知ってか知らずか分からないけれど……補佐は変わらずに続けた。  「中学の時の小さな気持ちは、会わないうちに薄れて、俺の中では全くの過去になってた」  小さな気持ち。  その言葉にまたズキリと胸が痛む。  今もなおそのころの気持ちを引きずっている張本人こそ、この私だ。  その私の想いすらも小さいものと言われた気がして、突き刺さる。  「過去になっていたのに……再会したんだ、大学で」  「大学?」  「一緒だったんだ。芸大の舞台芸術学科」  「は……」  演劇馬鹿だとは思っていたけど、まさか本当にそっちの方に行ってたとは思わなくて、私は驚きのあまり固まった。  そんな私を見た補佐は苦笑いを浮かべる。
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