転:絡まる恋(続き3)

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 演劇に狂い過ぎたみんなが、どんどん壊れていく。  ただやってみたくて立ち上げた補佐の劇団。  それは恐らく、ある種趣味のような感覚で立ち上げたんだろうと思う。  それなのに式典に参加出来る話が湧いたばかりに、みんながそれに踊らされた。  その話が切なくて、涙が出そうになる。  演劇は、そんなものじゃないのに……どこで人は狂っていったんだろうか。  「そうやって本番を迎えるころには、確実に恵は俺に嫉妬していたと思う。それを明らかに感じられて俺は大満足だった。そうやって終わった後、ようやく彼女に言う決心がついたんだ」  決心がついた、の言葉にドキリとして顔をまた補佐に向ける。  けれど無言で頷くだけで、一瞬静かな時間が流れた。  わずかな時間静寂が広がって……止めていた息を吐きだすように補佐はまた口を開いた。  「恵、付き合おうって。でも俺はどこまでも馬鹿で。こんなときですら横柄な態度にしか出られなくて。それで断られた」  「え……?」  「言うのが遅すぎるって。思わせぶりな態度ばかりを取り続けた俺に、最初は嫉妬してたはずがいつの間にか怒りになって……アイツは他の奴に目を向けた。俺を、諦めたんだ」  「そん、な……」  「自業自得、だよな」  ほんとに馬鹿なことをしたんだと言わんばかりに、補佐はため息をついた。  でも、同情の余地がない話に私も何も言えずに俯いた。  どう聞いたって、補佐が何もかも悪いと思う。  いくら私が補佐を好きでも、その時の彼のことをフォロー出来なかった。  無言で俯く私に、補佐はははっと空笑いをする。  「ま、何も言えないよな」  ポツリとそう零しながら、私の方を見ようともせず大きく息を吐いていた。  「話、続けていいか?」  「……どうぞ」
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