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エンジンをかけようかとしていると。
「あの、このハンカチありがとうございました」
そう笑顔、いきなりハンカチを返された。
「あぁ、おぉどうも」
不意打ちの笑顔。車の中という事もあり、顔が近い。
(ヤバいから……)
俺はうけとりポケットにしまった。すると木下は、
「あれっ」
そう言って、いったん車から降り、後ろの席やシートのしたを何やら探している。
「なにやってんだ?」
俺は不思議で木下にきくと。
「携帯がないんです」
と一生懸命探していた。
「ポケットは??」
ポケットを触り、ないと首を横にふる。
「ちょっと待てよ」
俺は携帯から木下の携帯に電話をかけた。
すると何処からか音楽が聞こえてきた、耳を澄すと砂浜のほうで。
「木下は車でまっとけ」
そう木下を車に残し、砂浜の方に走った。音を頼りに足を進めると、可哀相に砂浜にポツンと落ちている。
拾いあげて砂を払い車に戻る。木下は助手席で待っていた。
「やっぱりドジだな」
そう笑っていうと、木下は『そんな事ないです』とでも言いたげに見ている。
「はい」
木下に携帯を差し出すと、細くて白い手が携帯へと伸びてきた、触ると壊れてしまいそうだ。木下は携帯をうけとると開き。
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