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車内はとても静かだ。後部座席に座っている木下は今、何を考えているのか。沈黙を破るために、俺は木下に話し掛ける。
「木下、お前また有馬になにかされたのか??」
と何もされてない事を願いながら。
「何もされてません」
と答える木下。
「そっかぁなら良かった」
良かったと思ったが、本当に何もなかったのか……深くは追求せず俺は途中で車を停めジュースを買ってあげた。
「はいっ」
外は寒かったから体が冷えてるだろうと思い、ホットミルクティーだ。
「ありがとうございます」
缶をうけとると、木下は手を温めている。
「さむいか??」
そう聞く、忘れようとしても愛しくてたまらない。俺は木下を見るたびに、そういう気持ちになる。
木下は首を横にふった。
そんな木下を近くに置いておきたくて、というか居てほしくて。
「木下助手席すわれば?」
と言ってしまう。忘れられない……木下が愛しすぎるから。すると助手席に移動してきた、そしてイルカの置物にさわっていた。
車を発進させる。
「先生、まだ貝殻もってたんですね」
と前にくれた貝殻を見ている。
「木下からのプレゼントだからなぁ」
と思わず本心をいってしまった。
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