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海について車を降りる。寒いだろうと車にあった毛布をもった。
それから砂浜を歩く、今日は少し風が強く寒かった。
冬の海……寒いのは当たり前だが、こんな海も好きだ。
「ここら返がいいかな」
俺は砂浜に腰をおろす。すると木下もその隣に座った。
「寒いだろ?」
そう聞くと、
「少し」
と答える木下は、少しと言ったくせに、とても寒そうで震えている。
(強がりだな……)
そんな木下の目の前に、
「じゃじゃ~ん」
と俺はマジシャンみたいに毛布を広げてみせた。
「用意いいだろ」
と、すると。
「はい」
と笑顔で答えた。
今日だけ今日だけ……いっぱい優しくさせてくれ。
木下の事、忘れるから。無理だとわかってる……もし忘れられなくても、今日で優しくするのはやめるから。
俺は毛布を砂浜にしいて寝転んだ。そして、ポンポンと木下も寝転べと隣りをたたく。
すると、木下は横に寝そべった。
それで俺は余った部分を体にかけてあげる。1つの布にくるまって暖かかった。
これが俺の精一杯の優しさ……愛しくてたまらない。
「寒いな」
近い距離がドキドキする。
「さっきより暖かいです」
と答える木下。
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