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けれど彼は私の頬に手を添え
真っ直ぐ瞳を合せ呟いた。
「紗枝。
こんな状態で申し訳ないけど
お前に話さなければ
ならない事がある。
聞いてくれる?」
「…うん…」
「亜希の事」
孝之の口から出された
その名前が胸に突き刺さる。
けれどひとつも
瞳を逸らさない孝之から
私も目を逸らしては
いけないと思い覚悟を決めた。
「俺な…ずっと紗枝に
隠し事をして来たんだ。
最初の結婚を失敗したのには
大きな理由があった。
俺、実は子供が嫌いでさ…。
前の妻には何度も
子供をせがまれてて
嫌々子作りさせられてた」
孝之の口から前妻の話を
聞くのは初めての事で
戸惑いを感じていると
彼は衝撃的な言葉を吐き出す。
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