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「突然いなくなったくせに
男と別れたからって
俺に連絡して来た
前の妻は許せなかったけど…
この10年間、俺はその秘密を
紗枝に言えないまま
亜希への仕送りを続けて来た。
子供に罪はないからね…。
でも15歳になった亜希が
俺と連絡を取りたいって
言い出すようになって
…携帯電話を買ってやった。
それがあの電話番号だ」
───ああ。
やっぱり孝之は
浮気していなかったんだ。
その現実を知って、
ますます罪悪感に
押しつぶされそうになる。
「パイプカットした俺は
紗枝に子供を産ませて
あげる事が出来ない。
再生手術をした所で
成功率は50%程度だし
巨額の費用がいる。
何よりも身勝手な理由で
そんな事をした俺を紗枝が
嫌いになるんじゃないかって
思ったら…言えなかった。
……ごめん」
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