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シンは車の鍵を取り、すぐに家を飛び出していた。
嫌な予感が胸を締め付ける。
亜紀の家に車を走らせた。
携帯は手の中…運転しながらだったが…シンは耳に当ててみた。まだ繋がっている。
あの男の声…。
あの鈍い音…。
呻き声…。
(亜紀。)
心配で心配でたまらなかった。携帯の向こう側は静かで…“うっ…”という呻き声が聞こえていた。
シンは携帯を閉じて、運転に集中してスピードを上げた。
(亜紀…無事でいてくれ…。)
悪い事ばかりが頭を過ぎる。
(何があったんだ…。)
そして、ふと頭に過ぎったあの日の亜紀の言葉。
“修さんに、覚えとけっていわれた。”
シンは、血の気が引いて行く。確か…暴力を振るうと言っていた。
もしかして、あの鈍い音は…。
アクセルを踏む足に力が入る…。
(どうか…無事でいて…。)
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