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シンは、長椅子に座り頭を抱えていた。
(間に合わなかった…もっと早くいっていれば…。)
「すっうっ…うっ…。」
「亜紀ねぇ…。」
と泣いている、さっきの女性と男の子…。
それでシンは亜紀の家族だとわかった。
そして…時間は過ぎていく…。
ただ…待つ事しかできない。
カーテンの向こうは、次第に静かになっていった。
〃パタパタパタパタ〃
と廊下を走る音が聞こえた。シンの前を足音が通り過ぎた。
「亜紀は!!?」
その声は、男の人…。
「とうさん…。」
母親はまた泣き出した。
今きたのは、亜紀の父親だった。
すると、カーテンが開いた。
〃シャーー〃
白衣をつけた男が、亜紀の家族の前に立つ。
シンはそれを座ってみていた。
「木下 亜紀さんのご家族ですね?」
の問いに、頷く家族。
「検査しました、亜紀さんは数十か所の打撲と口の中が切れていました。骨折など重症な所はありませんので、安心してください。」
という言葉だった。
シンは、安心して体の力が全部抜けたような気がした。
(生きててよかった…。)
血で汚れていた亜紀を見て…居なくなるんじゃないかと…怖かった。
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