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久し振りに思い出した…家族の事…。
今まで心の奥底に鍵をかけて閉まっていたはずなのに…。
1人になる…何もかも失うかもしれない…。
そう思うと鍵はもろくも開いてしまう…。
“なんで、一緒に産まれたのに僕がお兄ちゃんなの?”
シンは幼いながら母親に聞いていた。
“それはね、シンには優を守れる力があるからよ。”
そう言うお母さんの言葉に、シンは納得してうなずいていた。
シンは…一卵性双生児…。
優(ゆう)という瓜二つの弟がいる。
違う所と言えば、泣き黒子くらいだ…。
そして、シンの思い出は一番思い出したくない…。
あの日までも…。
鮮明に写し出す…。
日曜日だった…。
“お父さん。学校おやすみでしょ??僕動物園行きたいよ!”
そこには駄々をこねる幼い自分の姿。
“あら?今日は家でゆっくりする約束じゃないの?”
と母親が隣りから口をはさんできた。
“やだやだ…僕お兄ちゃんだからいつも我慢してるんだもん。行く!絶対行くの!!”
その言葉に父親は、
“そうだよな…シンはお兄ちゃんで、いつも我慢してるもんな!行くか!?優と準備してこい!”
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