*…愛しくて…*

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シンは亜紀が元気が出るようにと“テレパシー”なんていってみた。 そんな事を言っていると亜紀は笑っていた。 そして、あの日の話をした。 自分が間に合わなかった話。亜紀が治療されている話。 “そうだったんだ…” 「そういうこと…」 すると亜紀はいきなり。 “先生。ありがとう。” と言ってきた。 「俺は、何もしてないぞ。」 とシンが言うと。 “先生は、私の為に駆け付けてくれたんでしょ?私は、それだけで、嬉しいから。” と言ってくれた。シンの胸は亜紀にそう言われて、なんだか軽くなった気がした。 間に合わなかったのに、それでも“ありがとう”と言ってくる亜紀…。 愛しいという気持ちが膨れ上がる。 “先生ぇ?” 亜紀に呼ばれた。 「ん??」 と言うと、亜紀はシンに、 “先生に会いたいなぁ” と言って来た。シンの胸はグシャッと潰される。 もう…会う事は出来ないから…。 「ごめんな…亜紀…。俺も会いたいけど、2学期は学園祭あるだろ?準備で忙しいんだよ」 と理由をつけた。 亜紀の父親と約束をした事を破ることはできない。 そう、シンは…亜紀をそうやって避けるようになっていった。
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