14人が本棚に入れています
本棚に追加
シンは亜紀が元気が出るようにと“テレパシー”なんていってみた。
そんな事を言っていると亜紀は笑っていた。
そして、あの日の話をした。
自分が間に合わなかった話。亜紀が治療されている話。
“そうだったんだ…”
「そういうこと…」
すると亜紀はいきなり。
“先生。ありがとう。”
と言ってきた。
「俺は、何もしてないぞ。」
とシンが言うと。
“先生は、私の為に駆け付けてくれたんでしょ?私は、それだけで、嬉しいから。”
と言ってくれた。シンの胸は亜紀にそう言われて、なんだか軽くなった気がした。
間に合わなかったのに、それでも“ありがとう”と言ってくる亜紀…。
愛しいという気持ちが膨れ上がる。
“先生ぇ?”
亜紀に呼ばれた。
「ん??」
と言うと、亜紀はシンに、
“先生に会いたいなぁ”
と言って来た。シンの胸はグシャッと潰される。
もう…会う事は出来ないから…。
「ごめんな…亜紀…。俺も会いたいけど、2学期は学園祭あるだろ?準備で忙しいんだよ」
と理由をつけた。
亜紀の父親と約束をした事を破ることはできない。
そう、シンは…亜紀をそうやって避けるようになっていった。
最初のコメントを投稿しよう!