*…愛しくて…*

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亜紀を見たらどうしても触れたくなってしまう自分をおさえるために、すぐに戻るつもりだった。 〃ガチャ〃 屋上の鍵を開けて中に入ると、亜紀と工藤の姿。 「何やってんだ?」 といつも通りに接する。 「隠れてたら、鍵しめられちゃって。」 と、工藤が言ってきた。 「そうか。」 シンは亜紀の事が見れなかった。 「じゃあ、もう遅いから早く帰らないとな!」 とシンはこの場から逃げたくて、そう言っていた。 亜紀がすぐ側にいる…。抱き締めたい…でも出来ない。 「えっ!?もう帰らないといけないんですか?私…トイレに行きたいんで…亜紀と待っててください。」 というと、工藤はいきなり屋上からいなくなった。 (やばい…) 亜紀と2人きりの屋上…。 亜紀を見るとなんだか恥ずかしそうにしていた。 そんな亜紀が愛しくて…シンの心は亜紀を求める…。 (ダメだダメだ。今は関係を持ってはいけない。) 自分の欲望を抑えつけるために心の中でダメだと言い聞かせた。 するとシンの口からは。 「木下、もう家に帰りなさい。」 という言葉が出ていた。 自分の欲望をかき消すために、亜紀ではなく木下と呼ぶ。冷たく突き放す。 「せんせぇ?」  と不安そうに言ってくる亜紀に 、シンは背をむけた…。
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