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病室の前…静かにシンは扉を開いた。
亜紀はベッドにいて、悠木くんと言う男の子に抱き付いて泣いていた。
「亜紀??」
愛しい人の名前…何度呼んでも足りない…。
「先生…。」
と、シンに気付いた亜紀は悠木くんをゆっくり放し…。
「この子が悠木!私の弟!」
と、泣きながら笑顔でシンに紹介してきた。
「そっか。」
と、シンは悠木くんに近付き頭を撫でる、そして、視線を合わせると。
「悠木くん、お父さんが呼んでたから、行っておいで!!」
と悠木くんを病室から出した。亜紀は赤い目でシンを見てくる。
「大丈夫か?」
と、シンが亜紀に聞くと。
一生懸命笑いながら、
「だいじょう…ぶじゃ…ないぃ。」
といい…泣き出した。
そんな亜紀を、シンは優しく抱き締めて…頭を撫でた。
「せんぜぇ~。」
と胸に顔をうずめてないている亜紀。
今にも崩れてしまいそうで…壊れてしまいそうで…。
「亜紀、頑張ったな。」
と声を掛け抱き締める事しかできなかった。
「間に合わなくてごめんな。」
首を横に振る亜紀…。
シンは抱き締める腕に力が入っていた。
(無事で良かった…。)
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