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止めてくれると、信じている。
だから……。
「亜紀には、今は言えない」
その言葉に、相沢の表情が曇った。
「亜紀には内緒にしていてくれ……」
シンの言葉に、相沢は腕を組みシンを見ると、また眉間に皺を寄せて。
「本当にそれでいいのか?」
と言ってきた。シンは静かに頷く。
「お前が居ない間、俺が木下を奪っても、お前は何もいわないよな?」
相沢は一体、何を考えているのか。
「俺は木下が寂しそうにしていたら、慰めてあげて。心に隙ができたら入り込むぞ。
それでもいいんだな?」
その時、シンの心臓は大きく鼓動を打った。
(……)
相沢がなんだか怖くて、本当に亜紀を取られてしまいそうに感じた。
「俺は亜紀を、信じてるから」
そう言ったものの、相沢の存在が怖い。
「なら、俺はお前に協力する。木下には赴任の話しをいわないよ」
と相沢は言った後、ビールを飲んで缶を手にもったまま。
「本当にいいんだよな……?」
と聞いてきた。相沢の目は真剣で、
「……」
シンは、何も言えなかった。
(なぁ……奪わないでくれよ)
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