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ラジオから流れてくる愛を歌う曲に、シンは耳をすましていた。もう、3学期が始まっていた、1月下旬。
吐いた息が白くなる。
ハンドルを握る手がかじかんでいた。
――――――――
――――
学校はいつもと変わらない、毎日が過ぎていく。
朝早くの静かな職員室……そんな中、シンは本当に久し振りに自分から亜紀にメールを送った。
【風邪引くなよ】
ただ、その一文。
たまにしか送れないメール。
たった一文でも、シンの色んな気持ちが入っている事を、亜紀は気付いてくれているだろうか……。
その時、校内放送が流れた。
【細川先生、至急校長室へ】
と、とても短い呼び出し。
でも、すぐに赴任の話しだろうと分かった。
職員室にいる数名の教師は、シンが何をやらかしたのかと、チラチラみていた。
シンは黙って校長室に向かった。
――――校長室。
「なんでしょうか」
机を挟み向かい側に座っている校長に、シンは聞いていた。
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