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「なんで? なんでそんなこというの?」
と言ってくる亜紀に、心の中で何度も謝った。
亜紀の瞳からは、涙が流れていた。
「私は先生から、メールもこないし…不安だよ…なんで? 先生と繋がってる…唯一の…メールな…のに…私、先生とこい…びとに戻りたい。
そばに…いたい…。
こんなんじゃ…わたし……せんせ…のこと。まてない…よ」
途切れ途切れに聞こえる亜紀の声。
涙をいっぱい流す君の事を。
(俺は抱き締めてやれない、ごめんな。亜紀……でもお前を信じてるから)
「待てないなら……嫌いになれ……」
そう言って、亜紀を突き放した。
まだ高校生の彼女には、辛い恋だって……わかっていた。
でも、そうする事しかできなかった。
(俺はお前と一緒になりたい……だから今は……)
亜紀はその場に泣き崩れた。
抱き締めてやりたい気持ちをこらえ、シンは静かに放送室を出た……。
(ごめんな亜紀……ごめん)
君を突き放す事しか出来ない俺を許してくれ……。
でも、俺は君を信じているから、誰よりも君が一番すきだから……。
だから……。
だから、今は。
一緒にいてはいけない……。
ごめんな……。
この日、校内に音楽は流れなかった……。
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