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こうやって、今は近くにいることが出来ても。
あと数週間後には、遠くに離れてしまう。
一生懸命に授業を受ける君の姿を……。
目が合うと頬がほんのり紅くなる君の姿を……。
(今のうちに目に焼き付けておこう)
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その日の夜。
シンと相沢は、喫茶店でご飯を食べていた。
「うまいな」
と言いながら、次々に口に食べ物を運んでいく相沢を見ると。
(こいつ嫌いなものあるのか?)
と思ってしまう。
「なに? そんなに見つめちゃって」
と、女っぽくいう相沢に、
「お前って、なんでも良く食べるなぁって見ていただけだよ」
といい、シンはコーヒーを一口飲んだ。
「あのさ、相沢。食べながらでいいから、聞いて欲しいんだけど」
とシンが言うと。
「あ゛? ダメに決ってんだろ。食べ物に夢中でお前の話しきけないよ」
と言った。
「わかった。じゃあお前が食べ終わったら話す」
と先に食べ終わっていたシンは、コーヒーをゆっくり飲みながら、相沢が食べ終わるのを待った。
だが……。
相沢の食べるペースが少しずつ落ちているのは、気のせいか。
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