*…赴任…*

12/18
前へ
/32ページ
次へ
「また急だな……」 とポツリと話す相沢に、シンは。 「仕方ないんだ……」 とだけ伝えた。 それから、あまり会話はないまま帰る事になった。 「じゃあまたな」 「おう」 駐車場で別れて、それぞれの家に帰る。 相沢のあんな悲しそうな顔を見るのは、嫌だった。 ―――――――― ―――― それから、数日が過ぎた。 相沢に次の日あうと、いつもの様に接してきた。 シンもそんな相沢の行動に、普通に接していた。 「木下には言わないのか?」 と聞いてくる相沢に、 「黙っててほしい」 とシンは言う事しか出来なかった。 亜紀にもし止められたら、 (俺は亜紀からはなれられなくなる) だから、黙って旅立つ事にした。 学校で亜紀の姿を探す自分。 楽しそうに友達と笑っている君……。 その笑顔が俺にも向く日はくるのだろうか……。 君を見ると、触れたくてたまらなかった。 話したくてたまらなかった。 メールがくるたびに、今なら戻れるんじゃないかって……甘い考えが頭をよぎったりした。 (亜紀……) 君の名前を……君の前で呼びたい。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加