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亜紀の父親からの電話が終わり、シンはベッドに横になりながら考えていた。
(亜紀は大丈夫か……きっと、こんな俺を嫌いになるよな……)
亜紀から貰ったチェーンを触りながら思っていた。
「はぁぁあ」
ため息しかでてこない。
今すぐ君を抱き締める事が出来たら……。
救われるのに……。
シンはやりきれない気持ちでいっぱいで、煙草を吸う回数が増えた。
夜空に向かって漂う煙は少しして消える。
自分のこのやりきれない気持ちも、夜空に消えてしまえばいいのに……。
そう思っていた。
冷たい夜風が、シンの気持ちを寂しくさせる。
(去年の冬は……俺達は普通に先生と生徒という関係で、まだ何もなかったのに)
と、シンはクリスマスでの出来事を思い出していた。
まだ、想いを伝えあっていなかったあの頃。
隣りに座る君は、俺に寄り添ってきた。
(温かかったな……)
何もなかったあの頃の方が、想いを伝え合わなかった方が……。
(亜紀は幸せだったかもしれないな……そして俺も……)
でも、あれ以降……亜紀と生徒以上の関係になりたいと思った。
(求めすぎた結果がこれか……)
手を伸ばせば伸ばす程、法律や世間の壁が邪魔をする。
分かっていた事だけど、現実は思った以上に、困難で……。
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