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今この状況が、離れていると言う事が最善だと思っていた。
さっきの声でふと思った。
(こんな俺で縛っていいんだろうか……)
と、夢にでてきたあの声は、自分の迷いかもしれないと思ってしまう。
何が正しいのか、何が良かったのか。未だにわからない……。
ただ1つだけ言える事は、亜紀を手放したくないという、自分の願望だけ。
(俺は手放したくない……)
ベッドから起き上がると、頭痛がした。冷蔵庫を開けてペットボトルの冷たい水を飲む。
そして、タバコを吸いにベランダに出た。
(あぁ……また分かんなくなってきた)
タバコを吸って少し気持ちを落ち着かせたあと、またベッドに戻った。すると、調度携帯がなった。
相手は亜紀。
取ろうか少し迷ってしまったが、シンは電話にでた。
「もしも…し」
タバコを吸っていたせいか、少し声がかすれていた。受話器の向こうからは、
「今、帰りました」
と可愛い声。その声に、一気に胸が苦しくなったのは、自分が間違った道を選んだと思ったからだろうか……それとも、君が苦しんでいるという事が事実だと分かっているからだろうか……。
どっちにしたって、この苦しみの原因は、暗い影しか落とさない。
シンは何も言葉がでなかった。すると、
「起こしてごめんなさい。私ももう寝るね。おやすみ」
と言ってきた、寝起きとでも思ったんだろうか。
「わかった、おやすみ」
シンはそう言って電話を切った。
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