*…碇…* #2

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 今この状況が、離れていると言う事が最善だと思っていた。  さっきの声でふと思った。 (こんな俺で縛っていいんだろうか……)  と、夢にでてきたあの声は、自分の迷いかもしれないと思ってしまう。  何が正しいのか、何が良かったのか。未だにわからない……。  ただ1つだけ言える事は、亜紀を手放したくないという、自分の願望だけ。 (俺は手放したくない……)  ベッドから起き上がると、頭痛がした。冷蔵庫を開けてペットボトルの冷たい水を飲む。  そして、タバコを吸いにベランダに出た。 (あぁ……また分かんなくなってきた)  タバコを吸って少し気持ちを落ち着かせたあと、またベッドに戻った。すると、調度携帯がなった。  相手は亜紀。  取ろうか少し迷ってしまったが、シンは電話にでた。 「もしも…し」  タバコを吸っていたせいか、少し声がかすれていた。受話器の向こうからは、 「今、帰りました」  と可愛い声。その声に、一気に胸が苦しくなったのは、自分が間違った道を選んだと思ったからだろうか……それとも、君が苦しんでいるという事が事実だと分かっているからだろうか……。  どっちにしたって、この苦しみの原因は、暗い影しか落とさない。  シンは何も言葉がでなかった。すると、 「起こしてごめんなさい。私ももう寝るね。おやすみ」  と言ってきた、寝起きとでも思ったんだろうか。 「わかった、おやすみ」  シンはそう言って電話を切った。
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