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――授業中。
何度も時計を気にしてしまう。
(もう亜紀は優に会ったのかな……)
生徒にプリントをさせながら、ふとそんな事を考えてしまう自分がいた。
(あぁ……授業に集中しなないと)
そう考えながら、ふと視線を生徒たちに移すと、真奈美と目があった。
顔をあげているのは真奈美だけだ。
『おわったのか?』
とクチパクで聞くと、
『終わった!』
とピースを見せてきた。眼鏡姿の真奈美は、学校以外で見る時とは全然雰囲気が違う。
真奈美は頭が良く、クラスでトップの成績で優等生だ。
クラスの皆も真奈美を慕っているし、彼女は学校ではおとなしくしているため、責任感が強く物静かだと思われているらしい。
『みんなが終わるまでまってろ』
と真奈美に返すと、コクリと頷いて窓の外を見ていた。桜井と絡んでいる時とは、本当に別人だ。
(亜紀もよく、あぁやって外見てたなぁ……)
また亜紀の事が頭を過ぎってしまう。
(あぁ……だめだ俺……)
そして、プリントを回収して教科書を進めて、授業は終了した。
「では、授業を終わります」
そう言って、鐘がなると同時に、シンは教室を出た。
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