*…碇…* #2

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 やはり優は、シンを怒っているだろう。今まで連絡を取らなかった事を怒っているのだろうか。  優はシンが連絡を取れなかった理由をしらない。だからきっと……。  いや、もしかしたら、両親をシンの幼い頃のわがままで奪った事を、憎んでいるかもしれない。  あの時、わがままさえ言わずに、家にいたら……。  何か話しをしたくて、話しをふっても、 「知らねぇ……」  と優は、会話を続かせてはくれない。 「もう、授業はしたのか?」 「あぁ、した」 「何年を教えたんだ?」 「そんな事まで聞くの? 相沢に聞けば良いじゃん」  すぐに会話を終わらせようとする優の声には、怒りが籠っていた。きっとその怒りは、今まで連絡をしなかったのに、普通に接してくる事に、怒っているんだろう……そうシンは勝手に解釈する事にした。 「ごめんな」  でも、優はそんな事は思っていなくて……シンが『英語の先生だったとはな』と言った事に対して、怒っていた。 「なぁ……約束覚えてるか?」  そう、ふいに優から言われた一言。 「約束?」  シンには、何かわからなかった。 「覚えてないんだな……もう授業あるから切る」  そして、シンが話す間も与えず電話は切れた。 (やくそく?)  シンは携帯を見つめ、優の言っていた約束を思いだそうとしたが、何も思い出せなかった。
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