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やはり優は、シンを怒っているだろう。今まで連絡を取らなかった事を怒っているのだろうか。
優はシンが連絡を取れなかった理由をしらない。だからきっと……。
いや、もしかしたら、両親をシンの幼い頃のわがままで奪った事を、憎んでいるかもしれない。
あの時、わがままさえ言わずに、家にいたら……。
何か話しをしたくて、話しをふっても、
「知らねぇ……」
と優は、会話を続かせてはくれない。
「もう、授業はしたのか?」
「あぁ、した」
「何年を教えたんだ?」
「そんな事まで聞くの? 相沢に聞けば良いじゃん」
すぐに会話を終わらせようとする優の声には、怒りが籠っていた。きっとその怒りは、今まで連絡をしなかったのに、普通に接してくる事に、怒っているんだろう……そうシンは勝手に解釈する事にした。
「ごめんな」
でも、優はそんな事は思っていなくて……シンが『英語の先生だったとはな』と言った事に対して、怒っていた。
「なぁ……約束覚えてるか?」
そう、ふいに優から言われた一言。
「約束?」
シンには、何かわからなかった。
「覚えてないんだな……もう授業あるから切る」
そして、シンが話す間も与えず電話は切れた。
(やくそく?)
シンは携帯を見つめ、優の言っていた約束を思いだそうとしたが、何も思い出せなかった。
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