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シンは家に帰ってきたあと、すぐにシャワーを浴びると、コーヒーを煎れて、ソファで寛いでいた。
(まだ、少し頭いたい……)
そう思いながら、今日は優に電話をしなきゃいけないと思っていた。
黒木さんに任せてくださいと言った身。
本当はこのまま黙っている事もできる、そしたら優と、前みたいに、昔みたいに、一緒に暮らす事が出来るかもしれない。
この歳になって、だいの大人2人が一緒に住み始めるなんて、世間からみたらおかしいかもしれない。
でも、シンの場合は状況が違う……今まで離れ離れだったのだから。
沖縄での公務が全て終わったら、今まで出来なかった兄弟同士の話しや、喧嘩もしてみたい。
そして、起きたら本当の家族が家にいる。
そんな生活がしてみたいという、気持ちもあった。
でも、それは自分のわがまま……。
自分の願望……。
ただの甘い考え。
結局、優の幸せを奪ったのは自分で、そんな甘い考えを、優が受け入れてくれるはずがない。
優には、もう家族がいるのだから。
俺はもう……1人なんだ。幸せを壊した物に願望なんて……。
シンは携帯を取ると、優の名前を表示した。
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