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「やっぱりお酒はうまいなぁ~」
「あぁ」
それから、学校の話しをしたり、桜井の若い頃の話しを聞いたりした。
「というか……今日ピッチ早くないか?」
心配そうに声をかける桜井、シンはいつもよりピッチが早く、時計を時折気にし黙って飲んで居た。
「普通……」
やっぱり何かあったんだと感じとった桜井は、その後は何も言わなかった。
何か思い悩んでいるなら、気が紛れるようにと、桜井は話し続けた。
シンは相槌をうちながら、酒を口に運んでいく、途中亜紀からメールが入り、相沢に無事送り届けられたと知ると、安心した。
が、それは心の中から不安が1つ取り除かれただけで、次第に酔ってきたシンは、ますます気持ちが沈んできた。
「はぁぁ」
思わずこぼれるため息、それに桜井は突っ込んだ。
「何悩んでんだ? 俺に話せよ」
と。だが桜井に言ってこの気持ちが軽くなるのだろうか?
自分に帰る場所がないと、改めて気付かされた事を、話してしまったら、余計に虚しくなってしまわないだろうか?
シンはそう考えずにはいられなかった。
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