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*…碇…* #3
その時、息子の容態が良くない事を医者から説明を受け、もって1年。
そう言われたそうだ。
父親は息子の余命を聞かされ、唇を噛み締めていたそうだが、黒木さんにこう言ったという。
『誰にも、余命の事は言うな』
と……。もちろん黒木さんは、何故かと聞いた、すると父親からは驚きの一言が。
『跡取りが居なくなっては困る。優がもたないとしても、跡取りがいなくなっては困る』
と黒木さんの本当の息子の名前も、同じ優だったらしい。
そして、息子の優くんが亡くなった。
誰にも知らされる事はなく、両親だけで見送ったそうだ。
そして、父親は優の代わりなる者を探した。
こんな事はやめて欲しいと、黒木さんは言ったが、父親はこうするしかないと……。
それから施設を訪問し、年齢が一緒の子を探した。
その時に出会ったのが、優だった。
同じ場所にある泣き黒子、そして偶然にも同じ名前。
神様が、天国に行った『優』の代わりに私達に与えてくれたのだと、その時に感じたという。
養子にとったことは、極秘で、その事が家にバレてはいけないため、優の一切の連絡先を切ったと。
あと引き取ってすぐは、病気の治療をまだしないといけないと言う理由で、2年間は黒木さんと優の2人暮らしをしたらしい。
誰とも接触せず、もちろん自分の親類を含め友達とも。
それも、みんなの目を欺く為。
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