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このまま、君を抱き締めたら……俺たちはどうなってしまうのだろうか。
「亜紀……離れて」
精一杯だった。そういう事が、本当は離れて欲しくない。でも、俺たちは確実にいけない事をしている。
亜紀は首を横に振った。
「やだ…い……やだ」
と、嫌なのは同じ。
「なぁ……亜紀。約束しただろ? 今は一緒に居ちゃだめなんだ。分かってくれ」
亜紀の肩を掴み、体から離す。
何故か手が、少し震えていた。
(どうしたんだ俺……)
何故か怖いと思った。
今誰かに見つかったら、そう思って怖いのか、君がそのまま離れて行ってしまったら。
それが怖いのか、正直どちらか分からなかった。
「せん…せぇ?」
亜紀は泣きながら顔をあげる、瞳に溜まる涙は、頬にスッと滑っていく。
「亜紀……ごめんな」
亜紀は首を横に振った。
泣いている君に今は優しくする事が出来ない。こんなに苦しい事が、今までに何度あっただろうか……。
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