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確実に、君に思いを告げたあの日から、その苦しみに囚われている。
亜紀……君も同じだろう。
「ごめん、今は優しく出来ない」
絡まる視線を解くかのように、シンは。
「ごめんな。またな」
亜紀の頭をポンっと叩くと、背を向けて玄関へと歩き出した。
これ以上……側にいる事は出来なかった。何故だろうか、目頭が熱くなってきた。
悲しい?
苦しい?
何故?
約束なんて破ってしまえば、この苦しみも消えるはずだろう?
きっとそうだろう?
何故……涙が溢れてくる。
シンは早くこの場から、逃げ出したかった。
「せんせぇ……」
呼ばないで欲しい……。
靴を履いてシンはすぐに外へ出た。
その少し後に、扉が開く音がする亜紀が追いかけてきたのだ。
シンはすぐに車に乗ると、すぐエンジンをかけ車を走らせた。
「待って!!」
君の声が聞こえる……その瞬間涙が流れ出した。
どうして……。
車を追いかけてくる君が、バックミラーにうつる。アクセルを思い切り踏み込んだ
もう、見たくない。
自分が泣いていることが、なんだかおかしかった。
何故泣いているのか、理由がはっきり分からなかったからだ。
胸が締め付けられるように痛い。ただそれだけ、何をおもって泣いているんだろうか……。
自分が壊れているんじゃないかと思った。
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