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*…約束…* #2
それから、すぐに電話に出た。
「もしもし」
「あっ細川くんかね。夜遅くにすまないね」
「いえ」
電話の相手は亜紀の父親だ。シンは話しながら靴をはくと、玄関から外へと出た。
風がなく、虫の鳴き声だけが聞こえる。思わず空を見上げると、沢山の星が瞬いていた。
「細川くんお土産は受け取ったかな?」
「はい、ありがとうございます」
それから、暫くは沖縄に赴任してからの状況などを話していたが、やはり話題は最終的に亜紀が今沖縄にきている事へと向く。
さっきまで一緒にいたシンは、嫌な汗をかいた。
有り得ない事なのに、何処からか見られているんじゃないかという恐怖が、襲ってくる。
「ところで、亜紀とは……その、ちゃんと約束を守ってくれてるんだよな?」
「大丈夫ですよ。亜紀さんには何もしませんから」
父親の言葉が胸にいたい。
「そうか良かった。亜紀は元気か?」
「亜紀さんは元気ですよ」
「本当に今だけは近付かないでやってくれよ。亜紀が卒業するまでは。
私は、二人のことを反対している訳じゃないんだから」
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