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――――
――
それから、亜紀たちが帰るまでの間、何も起こらず平和だった。
亜紀の姿を見て、胸がたまに痛んだが、ずっと笑顔でいる彼女に、その痛みは半減していた。
彼女は吹っ切れたのだろうか……。
最後にクラスでとった集合写真では、俺は相沢と琢磨にはさまれた。
そういえば、結局、相沢とはドライブに行けないまま、帰る日がやってきて、あっという間にいなくなってしまった。
見送りには行かなかったが、相沢たちが乗っているだろう飛行機が飛んでいるのが、学校の屋上から見え。
小さくなっていく飛行機に心の中でサヨナラと呟いていた。
どんどん遠くなる距離、胸がグッと締め付けるなにか……。
――夜になって、眠る準備をしていた頃、相沢から電話があった。
「詳しく説明してくれ」
と、あの夜なにがあったのか、シンは全てを話した。亜紀の父親の事、それが亜紀にバレた事。
相沢は黙って聞いていて、最後には分かったとだけ言った。
「そういう事だから」
「あぁ」
それから電話を切り、シンは深い眠りへと落ちていった……。
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