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――翌日。
桜井に呼ばれて、シンは桜井の家へ来ていた。
「あらぁ~細川元気ないね」
ソファに向かい合って座る二人、桜井はコーヒーをすするシンをチラッと見ながらそう言った。
「いつも通り……」
とは言ったものの、確かに気持ちは沈んでいた。
「親友に会ったから、あっちに帰りたくなったとか?」
何を言うのも面倒臭かったので、シンは。
「まぁ」
とだけ答えた。
「さいですか」
そう桜井はコーヒーを飲むと、
「じゃあ気分転換に出かけない? パァーっと」
そう誘ったが、シンはそんな気分ではないのだろう、
「ん……今日はいい」
と少し考えて呟いた。もちろん亜紀との関係を、桜井には相談なんて出来ず。
それに、亜紀とはもう終わってしまった事……今更桜井に相談しても、虚しくなるだけで、無意味な事。
それに桜井がこの話しを受け入れてくれるかなんて分からない。軽蔑されるかもしれない、そんなリスクを今は負いたくない。
そんな事を考えていると、一気に喪失感が襲った。
亜紀は本当に離れていってしまったんだと。
「大丈夫か? 顔真っ青だけど」
「あぁ大丈夫。貧血かもしれない」
そう桜井に嘘を重ねていた。
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