*…約束…* #2

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「そっか……」  静寂が二人を包む。シンの顔色を伺いながら、桜井は黙ってコーヒーをすすっていた。 「俺、やっぱり帰るわ」 「……少し休んでから帰れば?」 「大丈夫。コーヒーごちそうさま」  そう言うと、シンはソファから立ち上がり、扉に向かった。そんなシンに桜井は、 「細川くん。何か悩み事とかあるんなら、ちゃんと相談してよね。  運転気を付けて」  と軽く手を振った。シンは何も言えなくて、黙って部屋を出た。 ――それから、どれくらい車で走ったのだろう……陽は沈みかけていて、海と空を赤く染めている。  しばらくエンジンを止め、その景色を眺めタバコを吸った。 (眩しい……)  自分は何をやっているんだろう、何が幸せなんだろう。  君はどうしているんだろう……君は幸せだろうか……。  手に入れたいものほど、するりするりと逃げていく。  そして、側にいたからこそ、孤独感が大きくなる。  孤独を感じないために、近づいたのに、最後には大きな孤独しか残らなかった。  近づく前より、近づいたら大きくなる孤独は、離れた瞬間に俺を包み込み。真っ黒に染めた……。 ――独りが怖い?  最初から何も望まなければ、そうはならなかったのに。
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