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「聞いたのか!?」
「聞きました」
この事は知らない方が良い。
「気にするな……いつか誰だったか話すから」
そう言って逃れるつもりだった。が、
「なんで?」
と不服そうに言ってきた。
「お願いだから、聞かなかった事にしてくれよ……。
なっ?」
それが亜紀のため……知っても良い事なんかない。
「無理です」
案外亜紀はしぶとかった。今まで隠してきた事、その約束を亜紀に言ったらどうなるだろうか……。
亜紀を騙す事なんて、出来ない事は分かっていた。
きっと彼女は凄く疑っているだろう……聞くまではここを動かないというような態度だった。
「わかった……少し待っていてくれ」
シンはそう亜紀にいうと、少し離れた所でリダイアルをした。
すぐに取った父親に、まずは謝った。そして、亜紀に電話の内容を聞かれていた事を話した。
「亜紀と二人でいたのか?」
「いいえ。他の生徒も一緒ですが、私が電話をしに外に出たから、亜紀さんはついてきたみたいで……」
思わずついた嘘。父親は「そうか」というと、自分から亜紀に話しをすると言った。
これから先、亜紀も知っていたほうが、大事にはならないだろうという、父親からの言葉にシンは頷いた。
そして亜紀のところへ行き、「話して……」
電話を渡した。
君はどう思うだろうか……。
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