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「もし……もし」
亜紀が電話を変わった。そして一瞬にして固まってしまった。
自分の父親の声を聞いて驚いているのか、声もでないらしく、大きな目がますます大きくなった。
こんなとき、見ている事しかできない。彼女がこれから何を言うのか、どう思っているのか、考えながらジッと亜紀をみていた。
ずっと黙ったままの亜紀は唇を噛み締めていた。
全てを知った亜紀は、今何を思っているのか……。
少ししてから、
「ごめん……先生にかわるね」
それだけ言うと、手をたらんと下げてしまった。
黙っている亜紀の手から、携帯を静かにとり、シンは少し話してから電話を切った。
今日だけ、2人きりになる事を許してくださいと頼んで。亜紀に自分からもちゃんと話したいと言うと、父親は許してくれた。
黙っている亜紀に、車に乗るようにいうと、亜紀は黙ったまま助手席に乗り込む。
それから、シンは運転席に周り、深呼吸をして空を見上げたあと、車に乗り込むとすぐに車をだした。
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