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桜井の目はとても悲しそうだった。
「俺が何かしそうになったら、細川は止められる?」
コクリと頷いたが、
「俺、殴っちゃうかもしれないよ? それでも止められる?」
思わず生唾を飲み込んでしまった。目が一瞬にして冷たくなったからだ。
「桜井が止めて欲しいというなら、そうする」
「どうして、そこまでする?」
どうして? そう言われてすぐに出てきたのは、
「友達……だからじゃないのか?」
友達だから……疑問系になったのは、自分だけが友達だと思っていたのかもしれないという気持ちからだった。
「ふふっ」
桜井は笑うと、
「友達か……」
と呟いた。そして、
「真奈美と話してくるよ。もし、俺が真奈美に手を出しそうになったら……殴ってくれ。友達なら」
そう言って桜井は車を降りて真奈美のとこへ向かった。シンも車を降り、2人から少し離れた場所で、様子を見ることにした。
途切れ途切れに聞こえる声、シンはタバコを吸いながら、時間が経つのを待った。
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