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「先生?」
昼休み、シンは屋上で寝そべっていた。本で顔を隠して寝ていると声をかけられたのだ。
「真奈美か……」
本を顔から退かすと、太陽の光が眩しくて、目を細めた。 あれから数日。
「真奈美か……って、なんで残念そうに言うんですか!」
「そんな風に言ってないよ」
体を起こすと、真奈美は隣りに座った。
屋上には二人以外誰もいない。
最近、昼休みに屋上に来るのが日課になっていたシン。シンが屋上に行くのを見つけては、こうして真奈美が来るようになった。
「最近元気ないよねぇ~って、毎日サクがぼやいてるよ」
あれから、気持ちが落ちているのは確かだった。
「どこ見て元気ないって言ってんだ?
かなり元気だぞ」
「多分そういうとこじゃない? 無理してるように見えるもん」
「そうか?」
「うん」
真奈美にまさか見抜かれるとは思わず、苦笑い。
あれから真奈美と桜井の関係はいつも通り、あんな出来事があったのに、普通に戻っていた。
二人がどんな心境かなんて、全然分からない。
「ってか、真奈美暇人? いつも屋上にきて……友達と遊ばないのか?」
「失礼な!! 細川先生が心配だから、こうして来てるの!」
「心配無用」
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