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「なんだかな……」
階段を降りながら、そんな事を呟いていた。
――夏休み。
暑い……蝉の鳴き声で、暑さが増している気がした。
「やべぇ……あつすぎて死ぬ」
桜井は麦茶を飲みながら、手をヒラヒラさせ顔をあおいでいる。
「確かに暑い……」
シンもボソッっと呟いた。桜井の仕事を手伝っていたが、クーラーが壊れてしまったらしく、いきなりきかなくなった。
桜井は秘書に修理の依頼をしとくように言うと窓を全開にしたが、入ってくる風も生温く、二人はすっかりやる気をなくしていた。
「最悪……もう今日は切り上げるか」
桜井がそう言い、結局今日のところは終わりにした。
いつもより早い時間だったが、シンも汗だくの為、上がる事にした。
「あっつ……」
Yシャツの袖をまくっていたが、全然涼しくなく。シンは車に着くまでに、ネクタイを緩め、ボタンを2つ外していた。
「さいあく……」
ジワジワと出てくる汗。車の中もムンとしていたため、乗らずに窓を全開にし、タバコを吸って空気が入れ替わるのを待った。
「あっ細川先生」
こうやってコイツはいつもひょっこり現われる。
「何してんだ?」
「散歩」
真奈美はシンに近付いてくると。
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