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桜井の言葉の意味は、ちゃんと理解していた。でも、こんな自分にどうすれと言うのか。
「生きていたら……人間なんでも出来るもんだよ。俺からしたら、もったいない」
なんと答えていいのか、分からなかった。
「だから、な? 行ってこいよ」
という桜井に頷く事しか出来なかった。
『もったいない』そう言った桜井の顔は、悲しみに満ちていた。そんな顔をされると、何も言えなくなる。自分が間違っているんじゃないかと……思ってしまう。
亜紀……。
これから俺はどうすればいい?
君を忘れられない俺は、君に別れを告げたのに……追いかけてもいいだろうか?
今しか出来ない事なのかもしれない。
離れてしまう事に本当に意味があるのか?
分からなくなってきた。
すぐに戻りたくなってきた……。
いますぐに……君を抱き締めて自分の気持ちに正直に生きてみたくなった。
桜井の言っている通り、出来るときにしなければ……きっと後悔する。
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