*…変化…*

13/16
前へ
/35ページ
次へ
 それから数時間後、シンの携帯に雄也から電話が入った。 「久し振りだな」  そこから始まった会話、何故か雄也はシンが帰ってきている事を知っていて、 「雄也はエスパーか?」  なんて冗談を飛ばしていたが、 「先生を見掛けた」  そう言われた。 「声かければ良かったのに」 「かけたよ、亜紀が」  亜紀の名前がでてきて、一瞬全身の動きが止まったような気がした。 「お前が悪いんだ」  ボソッと聞こえる雄也の声。 「先生探せる? 亜紀をこの街に一人きりにしたんだよ。  電話もカバンも何も持ってないから、見つけなかったら大変な事になるよ、それも全部お前のせい」  雄也が何を言っているのか、良く意味が分からなかった。 「亜紀と一緒じゃないのか?」  この発言に、優と相沢が反応していたが、シンは今その事はどうでも良かった。 「ちょっと、意地悪っていうか、先生を脅そうと思って」 「はっ?」 「先生は亜紀を探せる? 探しだせる?」  雄也の挑発。一体彼はなにがしたいのか……。 「先生はまだ亜紀の事が好き?」  ドクンと胸の音が大きくなる。好きとか嫌いとか、今その答えは必要なのか?  一人きりで……亜紀が何処かでないているかもしれないのに……。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加