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それから数時間後、シンの携帯に雄也から電話が入った。
「久し振りだな」
そこから始まった会話、何故か雄也はシンが帰ってきている事を知っていて、
「雄也はエスパーか?」
なんて冗談を飛ばしていたが、
「先生を見掛けた」
そう言われた。
「声かければ良かったのに」
「かけたよ、亜紀が」
亜紀の名前がでてきて、一瞬全身の動きが止まったような気がした。
「お前が悪いんだ」
ボソッと聞こえる雄也の声。
「先生探せる? 亜紀をこの街に一人きりにしたんだよ。
電話もカバンも何も持ってないから、見つけなかったら大変な事になるよ、それも全部お前のせい」
雄也が何を言っているのか、良く意味が分からなかった。
「亜紀と一緒じゃないのか?」
この発言に、優と相沢が反応していたが、シンは今その事はどうでも良かった。
「ちょっと、意地悪っていうか、先生を脅そうと思って」
「はっ?」
「先生は亜紀を探せる? 探しだせる?」
雄也の挑発。一体彼はなにがしたいのか……。
「先生はまだ亜紀の事が好き?」
ドクンと胸の音が大きくなる。好きとか嫌いとか、今その答えは必要なのか?
一人きりで……亜紀が何処かでないているかもしれないのに……。
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