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「はぁっはぁっ」
切れる息、なかなか見つからない。
その間も、いろんな事が頭を巡り、血が引いていくようだった。
途中で相沢と合流し、捜索は続く。
「あきぃー! おーいあきぃー」
(相沢……?)
相沢の声に耳を疑った。
「あきぃー! いたら返事しろぉー!」
でもそれは聞き違いでもなんでもなくて、
相沢はいつから、亜紀を名前で呼ぶようになった?
一生懸命捜す相沢の姿。何故かその時、冷静に相沢を観察している自分がいた。
――それから、亜紀を見つけたのは1時間後の事だった。
公園で亜紀の姿を見つけたのは相沢で、足の早い相沢に追いつくには、少し時間がかかった。
姿を見るまで、事故や事件に巻き込まれていないか気がきではなかったが、やっと愛しい人の姿が見えて、ほっとした。
ガラの悪い人たちと一緒だったが、脅されているような様子もなく、逆に助けてもらったような感じで。亜紀の隣には1人の女性が立っていて、笑顔で亜紀に何か言っていた。
(よかった……)
正直、さっきまで生きている心地がしなかった。桜井の言葉が頭の中で何度もリフレインしていた。
『居なくなってからじゃ何もできない』
本当にその通りなんだと、最悪な事も考えていたため、それは大きく響いて。
『自分の気持ちに正直でありたい』
そう自然と思う自分がいた。
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