*…偽り…* #2

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『相川家之墓』  まさかとは思うが、桜井の見近に、同じ姓の人がいる。ただ同じだけかもしれないが……。  花をそえ手を合わせる桜井。シンも手を合わせた。 (だから桜井は……)  どれくらいそこに居ただろうか、赤い空が、黒く染まっていく。 「いきますか」 「あ、あぁ」  振り向いた桜井の顔は、薄暗くて良く見えなかった。  桜井の背を見て歩く、とても静かで、足音だけが聞こえていた。  車のそばで、二人並んでタバコを吸う。煙りはゆっくり上へと上がり消えていく。 「細川、今日は付き合ってくれて、ありがとな」 「いいよ、べつに」  桜井とは、仲良くなって間もないが、何故か心を許して貰っているような感覚がして、嬉しかった。 「細川はさぁ……俺と同じ匂いがする」 「なに匂いって?」  いきなり言われた言葉に、シンは桜井を見ると、 「なんとなく、お前は俺に似ているような気がしただけ」 「俺と桜井が?」 「そう」 「そうか?」  桜井は何がいいたいのか、黙って頷いた後、何もいわなかった。 「……サク」  その時、微かに聞こえた桜井を呼ぶ声。それと同時に、桜井が驚いた顔をしたのが分かった。 「サク」
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