*…偽り…* #2

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 数メートル先に見える人影、近づいてくる度に、その人が誰なのか、鮮明に分かる。 「真奈美、なにしてるんだ?」  シンは思わず聞いていた。桜井は静かにタバコを消している。 「ちょっと、お墓に……」  真奈美の声はとても小さい。桜井はまるで真奈美の事を無視するかの様に、黙って車に乗ってしまった。  その瞬間、真奈美は泣き出した。シンはすぐにかけより、大丈夫か? と声をかけたが、真奈美は声を押し殺して泣くだけだった。 ――「落ち着いた?」  あれから、シンは真奈美を適当な場所に座らせた。車からはさほど離れていない場所だったが、桜井が乗っている助手席からは、この場所は見えないだろう。 「ほら、涙ふけ」  シンに渡されたハンカチで真奈美は、涙を拭った。  今目の前にいる真奈美の姓は『相川』あの墓と一緒だ。 「真奈美、真奈美は桜井の彼女と親戚かなんかだったのか?」 「ううん……」  真奈美は顔を横に振ったあと、 「私のお姉ちゃんだよ」  と呟いた。 (やっぱり……)  なんとなく、そうなんじゃないかと感じていた。桜井が真奈美を無視する理由は分からないが、何かあるのだろう。 「そっか……」 「サク……なんで私の事無視するのかな? 私が恨んでるって……思ってるのかな?」
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