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――「おかえり」
運転席に座ると、桜井がそう声をかけてきた。
「おかえり、じゃないだろ……何普通にしてんだよ」
「俺はいつでも普通さ」
シンは話しをどう切りだそうかと考えた。真奈美に行ってくるとは言ったものの、何から話せば良いのか、分からない。
「何黙ってんの? 俺に何か言いにきたんじゃないの?」
桜井はそう言い笑っていたが、目は笑っていなかった。
感情が読みとれない。
「あぁ……あのさ、単刀直入に聞くけどいいか?」
真奈美を無視する理由、それは一体なんなのか……。口を開こうとした瞬間。
「なんで真奈美を無視するのか聞きたいんでしょ?」
ズバリ桜井に言われてしまい、シンは黙ってしまった。
「幻滅しないでよ」
そう言ったあと桜井は前にあるイルカの置物に触れると、ポツリポツリと話し出した。
「真奈美が嫌いな訳じゃないんだ。
むしろ、妹の様に可愛がっているつもり」
まだ真奈美のお姉さん、美咲さんが生きていた時、良く3人で遊んだりしていたらしい。
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