13人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺さ……相沢が亜紀って呼んでいるから、二人の距離がとっても近付いてるんじゃないかって、なんかショックうけたんだよな」
優は黙って頷いた。こんな話を弟にしているのは、なんだか恥かしいが、自分の気持ちを整理するのに良い機会だと思った。
「相沢が亜紀を見つけて、抱き締めた時……まぁ正直嫉妬した」
相沢がうらやましいとさえ思った。
「なんだろうな……自分の気持ちが良く分からないんだ。
気持ちに正直に生きようと思っても、一歩踏み出せないっていうか。
結局、色んな事考えて、何も出来ずにいるんだ。
亜紀の気持ちももう変わったんじゃないかって……」
コンビニの明かりが見えてきた。
「そうなんだ」
「そういう事」
それで話しはいったん終わった。花火を選びレジに通す。
すぐにコンビニを出ると、今度は優が話しだした。
「シンさ、一歩踏み出せないって言ったよね。それはさ、誰のため?」
(誰のため?)
その言葉に、思わず考えてしまう。
一体誰のためだろう……亜紀のためだといえばそうなる。相沢のためだといえば、そうなってしまう。
そして、自分のためでもある。
「まぁさ、色々あると思うけど、一番誰のためにそうなってしまうのかって事」
それは勿論、考えてしまうのは亜紀の事だった。
最初のコメントを投稿しよう!