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「でも……そのうちその苦しみは消えるだろ……?」
優はクスっと笑うと、
「10代の頃の恋ってなかなか忘れられないものだよ。
純粋だからそうなるんだろうけど……」
シンは何も言えなかった。
「それから、シンは誰のために生きてるの? それが一番大事な事だと思うけど。今生きてるのは、誰の人生?」
もちろん自分自身の人生で……誰の為に生きるのかと聞かれて、ようやく自分の為に生きなきゃいけないんだと、強く思った。
優がこんな事まで考えていたことに、シンはビックリした。
「なんかお前のほうがお兄ちゃんみたいだな」
「今から交換してもいいけど」
思わず顔を見合わせて笑った二人。シンはなんだか心がスッキリしたような感覚で、優の言うとおりだと、空を見上げた。
さぁこれから、どうしようか……。
「おっかぁ~(おかえり)」
公園の駐車場、笑顔の相沢に迎えられた、その隣りには、雄也と話しが終わって戻ってきた亜紀の姿。雄也はいない。
「はい」
シンが袋を渡すと、相沢は嬉しそうに受け取り、
「おぉサンキューサンキュー」
と、さっそく袋から花火をだしていた。
そして、
「やりますかぁ~」
亜紀を見てにかっと笑う。そして4人で花火をする事になった。 空気を壊すのを気にしてか、雄也の事には、誰も触れることはなかった。
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