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花火も少なくなっていき、最後に残ったのは線香花火だった。
皆しゃがみこみ、丸く弾ける先をみている。
「なんかしみじみするなぁ~」
相沢の言葉に、みんなコクリと頷いていた。
「線香花火の玉が落ちないで燃え尽きると……願い事が叶うってしってるか?
みんなでやろうぜ」
といきなり言い出した相沢は新しい線香花火をみんなに1本ずつ配った。
そんな話しは聞いた事がなかったが、なんだかロマンチックな話しだとシンは思った。また、相沢らしい。
いっせいに火をつける……。皆無言だった。
パチパチとはじける、小さいけれどとてもキレイな球。
「あっ落ちた」
最初に落ちたのは相沢の花火、コンクリートの上に、ポスッという音を残し消えた。
すると、相沢はいきなり亜紀にトンっとぶつかって。
「あ"っ」
亜紀のも、相沢のせいで落ちてしまった。
「うっしっし」
と笑う相沢に、
「ひどいぃ~」
といい、亜紀はむくれていると。
「1人だけ落ちたとか、嫌だろ~道連れじゃあ~」
そんな2人のやり取りに、なんだか心が和む。
(亜紀……俺の事をまだ好きでいて)
そう願いをかけた球は、綺麗な花を咲かせる。
沢山咲いて……最後まで咲き続けて。
そう願っているとシンと優の線香花火は最後まで燃え尽きた。
「双子の願いは叶うみたいだねぇ~」
と笑う相沢。
本当に叶ってくれたらいいのに……。
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