*…朧…* #2

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 そして、何事もなく毎日が過ぎていく。真奈美が亜紀のアドレスを聞いてきたのをすっかり忘れていたシンは、真奈美に催促され思い出した。  その日はちょうど亜紀が学校の見学に行く日だった。  朝から亜紀には学校見学を楽しんでこいとメールを打った。昼から行くらしく、とても楽しみにしているのが返事から伺える。真奈美の事は後から伝えようと、その話題は出さなかった。  そして相沢からもメールが入ってきて「今日は亜紀と二人きりだ」というのには正直イラッとした。まぁ仕方のない事だが。 「何考えてんの?」  校長室で桜井と弁当を食べていた。 「別に何も」 「嘘だね。今細川さむちゃくちゃ嫌そうな顔してたよ」 「そう? ゴーヤーが苦かっただけだよ」 「またまた、そんなにこのゴーヤーチャンプルー苦くないっしょ」  確かに全然苦いとは思わなかった。咄嗟に思い付いた上手い嘘だとおもったが……。 「またお悩みですか?」 「別に」 「別にね、また彼女と何かあったんだね」 「うっさい」 「ビンゴ」  フフっと笑う桜井は楽しそうに箸をクルクルと回している。  亜紀の事はやはり桜井には言えない。桜井にまで迷惑をかけてしまうと思うと友達であっても話せなかった。
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