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「ふぅ~ん、そっか」
君の声はやはり嘘をついている……こんなときに敏感な自分が嫌だ。さっきの元気のなさもこの事が原因なのか、きっと何かあったんだろう。
「もしかして、相沢と何かあった?」
「何もないですよ」
亜紀は嘘をつくとき、嘘だとバレないように気をつけているつもりだろうが、かえってそれが嘘だと教える。声が少し低くなるのは、亜紀の悪い所だ、
信じたくても、信じられない、だってバレバレなのだから。
「亜紀が言えないなら、相沢に聞くからいいや、言いにくい事なんだろ?」
胸がもやもやする。
「ん"~」
と唸る亜紀。相沢が関わっている事はこれで完璧に核心した。次第にイライラする気持ちを抑えるために、別の話題を探す。
このままじゃ、亜紀に何か言ってしまいそうだったからだ。
俺には言えない事? 俺は亜紀の何?
そう言った時点で、俺は終わってしまう。
だから別の話題を探す、そして見つけた。
「亜紀……あのさ、亜紀が沖縄に来てた時、亜紀が担当していたクラスの真奈美って子覚えてる?」
真奈美と約束をしていた事だ。
「真奈美さん? ……」
亜紀は一生懸命記憶を呼び出してるのだろう、少し黙った後。
「覚えてます覚えてます!」
そう声をはった。
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