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「その子がさ、亜紀とメールをしたいと言ってるんだけど……どうする?」
「えっ!? 私と? もしかして私と先生の事バレたんですか?」
「バレてはないんだけど、亜紀の事を気に入ったらしくて……」
いきなりの事だし、そう思ってもおかしくないと思った。
「いいですよ」
案外あっさり亜紀は承諾。
「じゃあ、教えとくな」
その後しばらく他愛もない話しをした、最近の学校での事やバイトの事。
まだ胸に残るイライラや、もやもやを消すために、亜紀の話しに集中する。こんな気持ちのまま電話をしている時間はもったいない。
亜紀と話す時は、温かい気持ちでありたい。ゆっくりだが氷が溶けていくように、イライラもモヤモヤも薄れてきた。
「亜紀は、あれから父さんと話した?」
そういえば、あれからどうなったのだろうか。亜紀からはその話しをまだ聞いていない、ちゃんと話しあえたのか心配だ。
「それが……なかなか話しが出来なくて」
言ってこなかったのは、何も進展がなかったからのようだ。少しずつでもいいからちゃんと話すようにと、優しく言ってやった。
亜紀をあんな気持ちにさせたのは、自分のせいでもあるからだ。
「うん……」
「亜紀……」
「ん?」
「あのさ……」
「なんですか?」
亜紀は、自分とこんな関係になったことを後悔してないのかと、急にそう思った。
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