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周りには自分より若い人や、良い人なんていっぱいいるはず。それなのに俺でいいのかと。
「やっぱいいや」
自分に自信がない、だからこう考えてしまうのだろう。
「えっ!! きになるぅ~」
「気になるか? じゃあ言わない」
きっと亜紀に言ったところで解決しないだろう。結局は自分自身の問題なんだから。
「言ってぇ~」
そんな亜紀に、
「亜紀、好きだよ」
そう誤魔化した。
「亜紀は?」
「私も……」
『会いたい』という気持ちが溢れる、シンはタバコを手に取るとベランダへと出た。
「なぁ亜紀……そっちは晴れてる?」
沖縄の空は晴れていて月で明るい。
「晴れてますよ……」
「月みえるか?」
「うん」
こんなに離れているのに、今は君と同じ物を見ているんだ。
「俺は今……亜紀と同じ月を見ているんだな」
そう呟く。会いたくて会いたくてたまらなくなった。
亜紀に会いたい……。
「寂しいか?」
「当たり前だよ……」
抱き締めてやりたい。
「亜紀は月みたいだよな……」
優しいあかりがシンや島を包み込んでいた。
「いつも……俺を癒してくれて、照らしてくれる……」
ロマンチックな事を言ってみたが、これは本心で狙っているとかそんな訳ではない。
本当にそう思ったんだ。
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